社労士試験の難易度は低下したのか?【令和3年社労士試験の合格ラインから考察】

社労士試験の学習法
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受験生Aさん

2021年の社労士試験は、合格率が7.9%と前年の6.4%から1.5%も上昇したけど、難易度が下がったのでしょうか?

受験生Bさん

選択式の合格基準点の補正は、2015年以降、厳格になったと聞いていましたが、今回は本来補正されないはずの科目がなぜ補正されたのでしょうか?

社労士M

今回の記事では、2021年本試験の合格基準等を基に、社労士試験の難易度が低下したのか否かについて、現役社労士である私がお答えします。

この記事を読み進めて頂くと、次のことがわかります

  • 2021年の本試験が、例年に比べて合格率が高かった理由について
  • 来年も合格率が高くなるのか否かについて

社労士試験の難易度は低下したのか?

結論からいいますと、社労士試験の難易度は低下していないものと考えられます。

低下していないと考えられる理由については、これから述べていきます。

原則と例外について

まずは令和3年社会保険労務士試験の「科目最低点の補正」について見てみます。

各科目の合格基準点(選択式3点、択一式4点)以上の受験者の占める割合が5割に
満たない場合は、合格基準点を引き下げ補正する。
ただし、次の場合は、試験の水準維持を考慮し、原則として引き下げを行わないこと
とする。
ⅰ) 引き下げ補正した合格基準点以上の受験者の占める割合が7割以上の場合
ⅱ) 引き下げ補正した合格基準点が、選択式で0点、択一式で2点以下となる場合

  • 各科目の合格基準点(選択式3点、択一式4点)以上の受験者の占める割合が5割に
    満たない場合は、合格基準点を引き下げ補正する。➡この条件を①とします。

下の図(クリックすると拡大します)は、令和3年社労士試験選択式の科目別得点状況表ですが、表を見ますと①の条件をクリアしているのは、労一と国年であることが分かります。

全受験者のうち労一で3点以上得点した方は17.3%、国年で43.8%です。そのため労一と国年の2科目が①の条件をクリアしています。

ただし、下記の場合は①の条件を満たしていたとしても原則として引き下げ補正はおこなわれません。

  • 引き下げ補正した合格基準点以上の受験者の占める割合が7割以上の場合➡この条件を②とします

労一が1点、国年が2点に合格基準点が引き下げ補正された場合、合格基準点以上に占める受験者の割合は次のようになっています。

労一84.1%
国年75.5%

平成27年以降「科目最低点の補正」は①と②を共に満たした科目のみが引き下げ補正されていましたが、今回の試験では、原則に基づく補正ではなく①を満たせば②を満たさない科目でも、例外的に補正されたのです。

なぜ例外的に引き下げ補正されたのか?

今回の社労士試験の全受験者数は36,465人です。そのうち選択式の労一で1点以下であった受験者は18,496人にものぼります。割合で言えば50.7%です。

ちなみに今回の選択式と択一式の合格基準点(総得点)は24点と45点です。もし労一の引き下げ補正が原則どおりが2点であった場合、総得点では合格基準点を上回りながらも、労一だけ合格基準点を満たすことができず不合格となる受験者数が、相当数いたものと考えられます。

そこで合格率の大幅な低下を防ぐために、労一は上述した②の条件を満たさなくても、例外的に①の条件に基づき、1点に引き下げ補正されてものと考えます。

また国年も労一と同様に①の条件は満たしているので、労一だけ引き下げ補正することはできなかったことから、合格基準点が2点に補正されたのでしょう。

合格率7.9%を額面どおりに受け取ってはならない

今回の試験は、選択式の労一を1点補正するために例外措置がとられ、それに伴い例年ならば補正されないはずの国年が2点補正されたことで、7.9%という近年では珍しく高い合格率となったのでしょう。

そのため、来年以降の試験では、今回の労一ような1点以下が50%を上回るような科目がなければ、例年どおり②の条件を満たさなければならず、容易に合格することはできないはずです。

合格率7.9%というのは、社労士試験の難易度が低下したことが原因ではなく、労一1点の受験者をまさに「救済」するための措置で生じた数字なのです。

また択一式試験も問題冊子のページ数が68ページと過去最多であり、解答に要する時間配分も厳しくなっています。

来年の試験を受験される方は、7.9%という合格率を額面どおりに受け取ってはならず、社労士試験の難易度は、合格基準点が厳格化された平成27年以降の難易度のままであると認識して学習に取り組んでください。

社労士試験対策講座については、下にリンクした記事にまとめています。

 

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